茶道具の世界 高麗茶碗
- 作者: 小田栄一
- 出版社/メーカー: 淡交社
- 発売日: 1999/12/01
- メディア: 単行本
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解説ページに各茶碗別の採点表が載っているのにはたまげた。高麗茶碗をナンバーワンとする、恣意的な点数付けによるものである。風格や知名度などで高麗茶碗は唐津や萩に勝り、釉でも青磁や天目を超え、耐久性で楽を上回り、高麗茶碗こそが至高であるというのだ。
裏千家肝いりで茶道具全般を総解説するこのシリーズにおいて、こうした採点を行うのは、裏千家茶道オフィシャルとして高麗茶碗を茶陶の頂点に位置づけるものなのだろうか。いや、そうではあるまい。著者の趣味性がこの巻では強く出ているに過ぎないのだろう。他の茶陶が高麗物よりも劣るのであれば、他の巻は不要になってしまう。そもそも点数で評価を付けられるほど底の浅いものではないはずだ。例えば、名画の数々を採点して、この名画が一番の点数だから最高である、といった発表をやったとしたら、くだらなさに失笑されることは明白である。単なる数字で名画の素晴らしさを語るのか、と。
高麗茶碗への深い愛ゆえにこうした採点となったものとは思うが、残念な内容であった。