五島美術館 茶道具取合せ展

 茶室の床の間を原寸模型としてしつらえ、茶会記を参考に道具の取合せを再現、という趣向の茶道具展覧会。
 ミニチュア的にこじんまりとまとまった展示を想像して出かけたが、もっと幅広く、茶道具の収蔵品を一堂に会した展示だった。前々回に展示した井戸茶碗こそないものの、織部茶碗の「わらや」や長次郎の「夕暮」、光悦の「七里」など室町時代から江戸時代初期の名品を見れるのは眼福。中国の染付け系に京焼きまで、時代と場所を問わず並べてあるのは、鑑賞初心者にとってありがたい。
 多摩美大のすぐ近くにある場所柄か、いかにもな美大生といかにもなお茶をやっているおば様方に客層が分かれているのは面白かった。ここまで違う人種が同じものを見に来るとは。
 以前来た時は分からなかったんだけど、物販品の「わらや(写し)」と本物の「わらや」は似ても似つかない。本物を見れば一目瞭然。歪みがおとなしく、生気にかけて見える。もっとも、展示品のほうでも織部とその写しがあって、かなり違ったテイストをかもし出していたので、写しとは必ずしも精密にオリジナルを再現すべきものではないのかもしれない。