『HOLLYWOOD LOVER』 | 月組 | 日本青年館大ホール | 宝塚歌劇

 縁があって、大空祐飛が主演の宝塚月組公演「HOLLYWOOD LOVER」を見てきた。
 祐飛様が月組でやるのも今回が最後とあってか、客の数がすごい。平日の昼夜二回公演を毎日やっているのに、千三百人定員の日本青年館ホールが埋まりきっている。通常の公演とは異なり、祐飛様が主役の特別公演なので客のほとんどは祐飛様ファンが占めているわけだ。密な仲間同士の発散するお祭り的な雰囲気が濃くて、門外漢の自分は会場へ入るのをためらってしまった。
 今回のお話は、祐飛様扮する新進の監督が久しぶりにハリウッドに戻ってきてメガホンをとるものの、主演女優がかつて自分を捨て大物プロデューサーと結婚した元彼女で、というもの。徹底して祐飛様を格好良く描いていく展開で、なるほど主演作品とはこうあるものなのかと感心した。祐飛様はほとんど葛藤せずにひたすら活躍していくため、ドラマとして見るともう一山欲しくもなるのだが、この作品は祐飛様ファンオンリーに向けて祐飛様を堪能してもらうためのショーなのだから、それでいいのだ。例えるならば、キャラ萌えアニメなのにドラマを重視して人気キャラの登場シーンを減らしたり、ファンが見たくもない苦悩を描いてもしょうがない。よくあるでしょう、人気漫画を実写映画化したら原作はまったりしたところが魅力なのに変な恋愛事件物とかになっちゃってるのが。
 とは言うものの、宝塚に詳しくない自分としては、濃厚な感情の起伏が描かれていた前回主演作「ラストパーティ」の方が分かりやすかったかなあ。まだまだ宝塚修業が足りないようで。